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オオバヤナギ(大葉柳)は、平野地の河岸などの水湿地に生える樹冠の広い落葉高木で、木の芯が赤いので別名「アカヤナギ」とも呼ばれます。このヤナギは地元では新芽が赤いので「アカメヤナギ」と呼んでいるそうですが、一般に「アカメヤナギ」といえば「マルバヤナギ」を指します。
「田部のヤナギ」は民家の裏庭、道路と小川に面しており、地上6mの所から枝分かれしています。真庭市発行の「真庭市の文化財」によれば、この民家の所有者の4代前の先祖が大山参りの帰りに記念に持ち帰ったものとあります。
説明板にある「アマハダ」とは、漢字で「甘肌」と書き、樹皮の表皮の下の木質部との境にある皮のことです。オオバヤナギは本州中部以北から北海道に自生し、鳥取県の大山が分布の南限に当たるとされており、岡山県ではきわめて珍しい存在です。
この「田部のヤナギ」があるのが下郷原集落ですが、すでにこの小字名はネットの地図では消されています。この郷原は「郷原漆器」のふるさとで、かっては漆器生産の一大産地でした。
郷原漆器の起源は室町時代の明徳年間(1390〜93年)にさかのぼるといわれ、江戸中期に本格的な生産がなされ、「作州郷原漆器」として西日本全体に流通していました。第二次大戦の戦中戦後の混乱で次第に衰退し、その制作技術も途絶えかけていましたが、近年復興がなされ、「郷原漆器の館」が開館されています。木の器の暖かさを伝えて欲しいものです。
(HP管理者) |