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「野原の魯桑(ろくわ)」は野原農村公園内ではなく、南西入口の路傍にあります。説明板によれば、「大正末期、お蚕さんの餌として地元の染川才一氏が植栽した。現在では利用価値も少なくなり、余り見かけなくなりましたが、これほどに成長した桑の木(魯桑)は珍しく、平成10年には『みえの樹木百選』に選ばれています。」とあります。
ちょうど赤黒い桑の実がいっぱいなっており、木の周囲は落下した実で足の踏み場もありません。かっては日本中で蚕のえさとして桑が植栽されていましたが、絹の生産がなくなり桑畑もなくなってしまいました。
魯桑(ろくわ、ろぐわ、ろそう)は中国原産の桑の種類で、明治7年頃に導入されました。萎縮病という桑の重要病害に比較的強く、その他の形質でも優れており、次第に普及しました。戦前の一時期は日本の輸出品の8割以上を生糸が占めていましたが、近代化に伴い養蚕・製糸業の時代は幕を閉じました。いまや国内に流通する純国産の絹糸の割合は、1%にも届きません。
養蚕業の衰退に伴い桑畑もなくなってしまいました。この魯桑もその歴史を物語る1本といえます。200m程南に行くと「七保のオハツキイチョウ」「野原祖霊社のゴヨウマツ」があります。
(HP管理者) |